2004年01月25日
ボウリング・フォー・コロンバイン
久々に面白い映画を見た気がする。
見終わった後、いい具合に脳が活性化された、そんな気持ち。
よく、本や雑誌を読んでいて気になった映画をDISCASのリストに放り込んでおくのだが、そんな映画のひとつが忘れた頃にやってきたのだ。
コロンバイン高校銃乱射事件から端を発して、アメリカの銃犯罪について縦横無尽に取材し、その根源を解き明かそうとするドキュメンタリーだ。
見始めて驚いたのがそのテンポのよさだ。これだけ重い題材を扱っているのに、監督であるマイケル・ムーアは2時間にわたって実に多様な切り口を見せ、最後の最後まで飽きさせず引っ張っていく。
銃があるから銃犯罪が多いのではない、アメリカはメディアや政治家が国民を恐怖で支配する「恐怖の文化」だからだという説には大いに頷かされた。その恐怖がアメリカ社会にさまざまな形でひずみを生じさせているという。
途中、アメリカの歴史がアニメによって紹介される。
清教徒が新大陸に来た時から始まっているのだ、先に倒さなければ倒されるというこの恐怖の文化は。
この事件で槍玉に上がったのが、マリリン・マンソンだった。
彼の曲に刺激され、彼らは凶行に及んだのだと非難されたマンソンに、ムーアはインタビューする。
メディアが恐怖をあおり、その恐怖心が銃犯罪を引き起こすのだ、という彼の冷静で理知的な返答には感心した。
その反対に惨め(と言ってもいいだろう)だったのが、チャールトン・ヘストン。
今は俳優というよりNRA(National Rifle Association)の会長として有名だ。
コロンバインの事件の後も、その後ミシガンで起きた6歳の子が6歳の子を撃ち殺してしまった事件の後もあの国を牛耳っている団体のひとつ、NRAはわざわざその地に行って総会を行ったそうだ。
映画のラスト、ビバリーヒルズに向かったムーアはスターマップを買い、ヘストンの家をアポなしで訪問する。
あの年になっても、モーゼを髣髴とさせるような堂々とした演台でのヘストンとは違い、腰をかがめてそろそろと歩く自宅での彼は人種差別的発言をして、自身の考えの浅さ、ひいてはNRAという団体の本質を露呈する。
この映画で、何故アメリカで銃犯罪が多いのかという問いに対する答えは出ない。
だが、911以降、ますます恐怖に支配されている感のあるアメリカ、ひいては世界に対して静かに語っている。
恐怖による支配は新たな恐怖を産むだけで、問題の解決を図ることは出来ないのだということを。
WOWOWでマイケルムーア特集をやるそうだ。
WOWOW、契約なさっている方、31日うちにいらしたら是非ご覧になってみてください。
絶対、面白いですから。
ムーアはおまけについていた最後のインタビューで、日本は人々が助け合っているすばらしい国だ、と言った趣旨の事をいうのだが、本当にそうだろうか?
日本だって恐怖の文化にどっぷり浸っていると思うのだが。
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